ファイルやディレクトリを圧縮・展開するためのコマンド「tar」は、LinuxやUnixベースのシステムで頻繁に使用される重要なツールです。しかし、tar オプション を適切に使いこなすことで、その利便性を最大限に引き出すことができます。この記事では、tarの代表的なオプションを5つに分けて、それぞれの役割や使用方法を解説していきます。
tarとは?
tar(tape archiveの略)は、複数のファイルやディレクトリを一つにまとめるために使われるコマンドです。圧縮といえば「zip」が有名ですが、tarは圧縮だけでなく、ファイルを単純にアーカイブ(まとめる)する機能も持っています。このtarを活用する際、重要になるのが tar オプション です。これらを適切に組み合わせることで、作業の効率が大きく変わります。
1. ファイルをまとめるオプション
tarの最も基本的な使い方は、ファイルやディレクトリを一つのアーカイブにまとめることです。このとき使用するのが-cオプションです。
- -c : 新しいアーカイブを作成します。
- -v : アーカイブの作成過程を表示します。
- -f : 作成するアーカイブファイル名を指定します。
まとめたファイルはそのまま保持されるので、次に紹介する圧縮オプションと組み合わせることで、さらに効率的に管理できます。
2. 圧縮するオプション
ファイルをまとめただけでは、サイズは変わりません。そこで、圧縮を加えるための tar オプション としてよく使われるのが-zと-jです。
- -z : gzip形式で圧縮
- -j : bzip2形式で圧縮
例として、gzipで圧縮する場合は次のようになります。
これにより、ファイルをまとめるだけでなく、ディスクの容量を節約できます。gzipは高速、bzip2はより高圧縮率を誇るため、用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
3. ファイルを展開するオプション
tarファイルを展開する場合、使用するのは-xオプションです。
- -x : アーカイブを展開します。
- -v : 展開の過程を表示します。
- -z : gzip形式で圧縮されたファイルを展開します。
- -f : 展開するアーカイブファイル名を指定します。
この tar オプション は、圧縮形式によって-zや-jなどと組み合わせて使用するのがポイントです。
4. ファイル内容を確認するオプション
アーカイブを展開せずに、内容だけを確認したい場合に使えるのが-tオプションです。
- -t : アーカイブの内容を表示します。
tar オプション の中でも非常に便利なものの一つで、誤って不必要なファイルを展開するリスクを避けられます。
5. 差分バックアップを取るオプション
最後に、tar オプション の応用例として、差分バックアップを取る方法を紹介します。-gオプションを使用することで、指定した日付以降に更新されたファイルだけをバックアップ可能です。
- -g : 差分バックアップ用のスナップショットファイルを指定します。
これにより、システムのバックアップ作業を効率化し、毎回全ファイルをバックアップする必要がなくなります。
まとめ
tar オプション をうまく活用することで、アーカイブ作成や展開の作業が大幅に簡略化され、システムの運用効率を向上させることができます。特に、圧縮形式やファイルの確認、差分バックアップなどの機能は、日々の作業で欠かせないツールです。ぜひ、これらのオプションを駆使して、あなたの作業をよりスマートにしてみてください。